今般の新型コロナウイルス感染症による未曾有の危機の下、「経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」、「国民の安全・安心の確保」、「豊かで活力ある地方創りと分散型国づくり」が喫緊の課題となっている。
サプライチェーンの強靭化や防災・減災、国土強靭化の推進に加え、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたグリーン投資の加速、デジタル技術の積極的な活用などを重点的に実施することにより、島国日本の生命線であり国力の源泉となる港湾の整備・振興を図ることが求められている。
このため、令和5年度予算において必要な港湾・海岸関連予算を確保するとともに、税制の特例措置等の支援策を講じ、下記事項の実現が図られるよう、本日ここに港湾関係の諸団体の総意として、強く要望する。
記
1.経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大
(1 )国際コンテナ戦略港湾のハブ機能を強化するため、大型船舶への対応、国内外からの重点的・効率的な集貨の促進、荷役能力の向上や労働環境の改善に資する民間投資への支援、国際フィーダー航路で結ばれる地方の港湾の機能強化等を推進すること
(2 )「 ヒトを支援するAIターミナル」の実現及びさらなる生産性向上と労働環境改善に向けた取組、サイバーポートの拡充、CONPAS等のデジタル技術の活用による効率的な物流システムの構築に向けた取組を推進すること
(3 )国際バルク戦略港湾において、大型船舶に対応した港湾施設の整備をはじめ、ソフト面も含めた総合的な取組を推進すること
(4 )ICT施工や3次元データの活用、衛星データ等の利用拡大による港湾工事の抜本的な生産性向上のため、港湾におけるDXを推進すること
(5 )カーボンニュートラルポート(CNP)形成に向け、脱炭素化に取り組む民間の投資を後押しするための環境整備を推進すること
(6 )海洋再生エネルギー発電設備の促進区域の指定や基地港湾の整備等、洋上風力発電の導入を推進すること
(7 )感染症等への水際対策や国による支援体制の強化を含め、引き続きクルーズ旅客等受入機能の高度化等を図るなど、クルーズを再び安心して楽しめる環境整備を推進すること
(8 )災害に強い物流網の構築等に資する日本海側港湾の機能強化等を推進すること
2.国民の安全・安心の確保
(1 )東日本大震災、令和2年7月豪雨などの大規模自然災害からの早期の復旧・復興を実現するため、港湾及び港湾海岸の早期復旧・復興に対する予算を確保すること
(2 ) 激甚化・頻発化する風水害や切迫する大規模地震等に屈しない強靱な国土づくりを推進するため、耐震強化岸壁の整備、防波堤等の粘り強い構造の導入などを計画的に進めるとともに、コンビナート港湾における民有護岸の耐震対策等の民間における災害対策の支援等を推進すること
(3 )海岸保全施設の整備や耐震対策、水門・陸閘等の自動化・遠隔操作化、港湾内の津波避難対策、漂流・漂着流木対策など総合的な防災・減災対策の推進への支援を図ること
(4 )港湾施設や海岸保全施設の計画的、総合的な老朽化対策を推進すること
(5 )港湾施設や海岸保全施設の総合的な防災・減災対策、老朽化対策及びデジタル化等を重点的・集中的に講じるため、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を推進するとともに、長期的・計画的に必要となる予算を確保すること
(6 )港湾の整備や災害対策等に不可欠な作業船等の確保等を推進すること
(7 )ヒアリ等の外来生物の定着防止のための対策を推進すること
3.豊かで活力ある地方創りと分散型国づくり
(1 )製造業や農林水産業等、地域経済を支える産業の競争力強化
を図るとともに、トラックドライバー不足等に対応し安定的に国内物流を支える内航RORO・フェリー輸送網を構築するため、民間投資の誘発や物流効率化に直結する港湾施設の整備を推進すること
(2 )農林水産品・食品の更なる輸出促進に向け、産地と港湾が連携した取組に係る施設整備等への支援を行うこと
(3 )港湾を核とした魅力ある地域を創造し、災害対応能力の強化を図るため、「みなとオアシス」への支援を推進すること
(4 )港の一層の賑わい創出に向け、民間資金を活用した港湾緑地等の再整備や利活用の活性化に資する制度の充実を図ること
(5 )離島航路の就航率の向上や船舶の大型化に対応するため、防波堤や岸壁等の整備を推進すること
(6 )浚渫土砂や内陸部での最終処分が困難な廃棄物の適正処分のための海面処分場の計画的な整備、港湾における環境負荷低減への取組等を推進すること
4.上記事項を実現するため、今般の総合経済対策を踏まえつつ、令和4年度第2次補正予算も含め、必要な港湾・海岸関連予算・税制を確保するとともに、必要な法制度を整備すること
令和4年10月27日
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